内項外項ではなく行列の対角の積
概要
は対称性がわかりにくいので、行列 \begin{align}\begin{pmatrix}a & b \\c & d \end{pmatrix}\end{align}で書いてみる。
本文
内項の積外項の積という定理がある。
という比例式が成立するとき、が成立する。内側の2数をかけたものと外側の2数をかけたものが等しいというわけだ。
しかし、これが「内」「外」になるのは等式の両辺を横(左右)に並べたからだ。縦(上下)に並べてみよう。
\begin{align}&a:b \\ =\ &c:d \end{align}
四角形の対角(左上と右下、左下と右上。つまりナナメ)をかけたものは等しい、という位置関係になる。
比例式はこのように縦に並べた方が自然だと考える。理由を説明していこう。
比例式の縦と横を入れ替えて書いてみる。
\begin{align}a&&c \\ \cdot\cdot&\;\; = &\cdot\cdot \\ b &&d \end{align}
これはまさに、のそれぞれの比が等しいことを表している。比というのは割合つまり割り算のことだ。
\begin{align}\dfrac{a}{b}=\dfrac{c}{d}\end{align}
この式のとは入れ替えることができる。両辺にをかけてで割ると
\begin{align}\dfrac{a}{c}=\dfrac{b}{d}\end{align}
比に戻すと、
\begin{align}a&&b \\ \cdot\cdot&\;\; = &\cdot\cdot \\ c &&d \end{align}
もともとの式\begin{align}&a:b \\ =\ &c:d \end{align} と同じ位置関係になった。ただし、縦の並びが比なのか、横の並びが比なのかは変わっている。
縦の並びの比が等しいことと横の並びの比が等しいことは同値であった。つまり、比例式の4つの数を並べた四角形は縦と横を入れ替えても意味が変わらないということになる。縦と横の対称性を分かりやすくするために、とを取ってしまおう。すると比例式は4つの数を並べた行列になる。この行列は比が等しいという命題を表すものとする*1。は命題として同値であることを表す。
\begin{align}\begin{pmatrix}a & b \\c & d \end{pmatrix} \Leftrightarrow \begin{pmatrix}a & c \\b & d \end{pmatrix}\end{align}
これは行列の転置をしてもよいということである*2。この2つの行列はいずれも、、、を表す。
比例式はもともと等式だったので、もちろん左辺と右辺を入れ替えても同値である。これは2行、あるいは2列を入れ替えることに相当する*3。
\begin{align}\begin{pmatrix}a & b \\c & d \end{pmatrix} \Leftrightarrow \begin{pmatrix}c & d \\a & b \end{pmatrix}\end{align}
\begin{align}\begin{pmatrix}a & b \\c & d \end{pmatrix} \Leftrightarrow \begin{pmatrix}b & a \\d & c \end{pmatrix}\end{align}
3つ以上の数の比にもこの行列がそのまま使える。たとえば、九九の表の一部を比として考える。
\begin{align}&1:2:3 \\ =\ &2:4:6 \\ =\ &3:6:9 \end{align}
は
\begin{align}\begin{pmatrix}1&2&3\\ 2&4&6\\ 3&6&9\end{pmatrix}\end{align}
と書ける。
この場合も、「長方形の四頂点の位置にある数について、対角をかけたものは等しい」という性質は成り立っている。
比例式は行列で書き、「対角の積が等しい」と説明するべきである。