睡魔戦記としての授業ノート

私が大学に通っていた頃に授業で使っていたノートが出てきた。
そこには、私が睡魔と戦った記録が残されていた。
授業のノートに、カタカナで「スイ」と書いてあり、マルで囲んである。
スイとは睡眠の略である。
眠りに落ちて、目覚めた時にその印をつけたのだ。
その横に、目覚めた時刻と、目覚めた時に覚えている範囲で夢のセリフや内容が書いてある。
後から見れば夢の内容など意味不明である。
眠りに落ちれば落ちるほど、ノートは謎の夢で汚されていく。
このノートは授業がどれだけ睡眠に侵食されていたかを物語っている。
中には、1授業90分で20回も30回もスイ印がついているものもある。
これだけ断続的に眠っていては、もはや授業に参加している意味はない。
私はクラスの中に必要ない人間だ。
私は授業に適応できていなかった。
私の自尊心は傷ついた。
こんなことはもうやめようと何度も思った。
しかし、結局在学中は授業で傷つくのを止めることができなかった。
その後私は、幸せのためには覚醒が必要だと考えるようになった。